国内最大のクルーズ船「飛鳥Ⅱ」が3日、ひたちなか市の茨城港常陸那珂港区に寄港した。県内へのクルーズ船寄港は国内で新型コロナウイルス感染症が確認されて以降、初めて。県が進めていたクルーズ船誘致はコロナ禍でいったん中止を余儀なくされていたが、約2年ぶりの入港は誘致再開の弾みとなりそうだ。
飛鳥Ⅱは2日夕から、横浜港を発着する2泊3日の短期クルーズとして運航。唯一の寄港地となる本県では、乗客として利用する約300人のうち、延べ約240人が国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)や偕楽園(水戸市)など本県観光を満喫した。
3日朝、茨城沖からゆっくりと船影を見せた飛鳥Ⅱは、午前9時に同港区へ入港。感染対策のため岸壁への出入りは関係者など一部に制限したものの、県立東海高ジャズバンド部が軽快な音楽を演奏しお出迎えすると、乗船客らはデッキに出て手拍子するなど歓迎に応じた。
その後、乗船客は続々とタラップから下船し、県内観光へ向かった。横浜市の女性(84)は「船内ではさまざまな感染対策が講じられており安心」と、船旅の魅力を実感。北海道函館市から家族で参加した女性(43)も「茨城は初めて。海浜公園のコキアや散策が楽しみ」と期待を込めた。
クルーズ船を巡っては、昨年2月の「ダイヤモンド・プリンセス」号での感染拡大を機に、全国で運航が中止。2017年度から茨城港への本格的なクルーズ船誘致を進め、19年度には初の外国クルーズ船が同港区に寄港するなどしていた本県でも、相次いで受け入れを中止していた。
ただ、昨年10月以降、各地で国内クルーズ船の運航が再開し始めると、県も再び誘致に向けた取り組みに着手。地元自治体などで構成する「茨城港におけるクルーズ船の受入に関する協議会」を立ち上げ、寄港条件として船舶会社に求める感染対策など、クルーズ船ごとに受け入れの可否を判断する基準を構築。19年10月以来となる寄港を実現させた。
県の青山紘悦港湾振興監は「船会社による感染予防だけでなく、船内で感染者が出た場合にも地元が迅速に対応できる態勢を整え、ようやくここまでこぎ着けた。茨城を知ってもらう大きなツールとして、今後もクルーズ船誘致を積極的に進めていきたい」と、今後の誘致に意欲を示した。
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