年間約1000万人の外国人観光客が訪れる大阪には、大阪城やユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど、多くの人気スポットがあります。外国人が集まる大阪の観光案内所を追跡しました。
■「西の秋葉原」でんでんタウン 外国人にも人気
JR大阪駅の構内にある大阪観光案内所には、月におよそ2万5000人の外国人が訪れます。
大阪城やユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど、多くの人気スポットがある大阪ですが、大阪観光案内所の溝畑宏理事長は「リピーターが増えてきて、あまり知られていない場所へ行きたいというトレンドが強くなっている」と話します。
フランスからの観光客からは「堺の街にぜひ行きたいんだ。どういけばいい?堺に包丁を買いに行くよ」、オーストラリアからの観光客からは「でんでんタウンは、どう行ったらいいですか?」という質問がありました。
でんでんタウンとは、大阪で有名な電気街です。アニメやゲームの店も増え、「西の秋葉原」として最近は外国人に人気です。オーストラリアから来た家族は「日本で感動した温水便座を見に行く」と話しています。
■一味違った食べ歩きツアー!黒門市場でたこ焼き
案内の中でもやはり多いのが「食い倒れの街」大阪のグルメ情報ですが、今人気なのが、ガイドの説明を聞きながらの一味違った食べ歩きツアーです。
やってきたのは、大阪市の中心部にある黒門市場。およそ150件のお店が軒を連ね、一日におよそ2万人の外国人が訪れる人気の市場です。
おなかをすかせての参加は、オーストラリアから親子で来たキャサー・ボイルさん(39)です。
ガイド
「大阪は日本の台所と呼ばれています」
まずは、「大阪グルメの横綱」たこ焼きです。待ちに待ったとばかり、一口で頬張るお兄ちゃんが口の中でハフハフしながら、一口かんだ瞬間、「口の中が熱くて、耐えられなかった」ようです。冷ましてから食べてみると、「ソースがおいしいわ」「タコもおいしいよ」と感想を話しました。
ガイド
「たこ焼きは大阪のソウルフード。大阪の人は、安くて早くておいしいのが好きなんです」
続いて向かったのは、「コンビニで気になっていた」というおでんでした。これも熱いので、気を付けて。お母さん、今度はこんにゃくにカラシをたっぷりと付けていましたが、「ちょっと多く付けすぎたみたい」です。
ガイド
「日本のビジネスマンは、これでビールを飲むのが好きです」
ボイルさん
「ただ食べるだけじゃなく、子どもたちに食文化についても学んでほしくて、ツアーに参加したのよ」
さらに歩いていると…。和牛は外国人に絶大な人気。ツアー料金をオーバーしているため、自腹で購入しました。娘は大喜び。その後も、大福や肉まんなど、気になる大阪グルメを堪能しました。
ボイルさん
「たくさん食べて、いろんな情報を教えてくれて、とても楽しかったわ」
■大阪グルメの代表「お好み焼き」手作り体験
大阪グルメの中でも「作る体験ができる」と外国人に人気なのが、お好み焼きです。
アメリカから来た大学生3人組も、初めての体験を楽しんでいました。特に「こて返しを一度はやってみたい」とやって来る外国人が多いといいます。念願の「こて返し」を体験しました。
外国人に大阪の魅力を聞いてみると、「街全体に熱気があるよね」「食事がおいしいし、おもてなしを感じるよ」「大阪は『アリガトウゴザイマス』が違うのが面白い。『オオキニ』だっけ?」という声が聞かれました。
■穴場スポット!「日本の滝100選」箕面大滝
大阪は初めてだというオーストラリアから来たブリアン・ボックスさん一家は、大阪に5日間滞在します。
案内所スタッフ
「海沿いエリアはいいですよ」
ボックスさん(46)
「ユニバーサル・スタジオは、そこにあるのか」
2日後、「色々な大阪を満喫したい」というボックスさん家族が向かったのは、大阪駅から電車で30分の箕面市です。箕面公園は比較的人も少なく、自然を楽しめる穴場スポットです。特に、ある絶景が外国人に人気だといいます。
ボックスさん
「素晴らしいね。ほんの1時間前まで街の中にいたのに、今は自然の中にいるんだよ」
途中には「日本の宝くじ発祥の地」とされ、弁天様を祭るお寺もあります。散策する途中、妻のディオネさんが盛んにスマホをかざしますが、ボックスさんは「翻訳アプリで何が書かれているか読んでいたんだよ」と話します。
翻訳した看板の意味が分かったボックスさんは「ペットの世話は責任をもってやらないとね」と。その後も、ディオネさんは気になる看板を見つけては翻訳しました。これも、日本をもっと知りたいからだといいます。
すると、ボックスさんは沿道の売店で気になる食べ物を発見しました。それは名物「もみじの天ぷら」です。白ごまと砂糖を加えた衣で揚げられています。
ボックスさん
「いいね。少し甘くて美味しいよ。アリガトウ」
色々と楽しみながら歩くこと1時間半、目指していたある絶景に近付いてきました。見えてきたのは、ゴールにある箕面大滝。落差は33メートルで、「日本の滝100選」にも選ばれており、期間限定でライトアップも行われます。特に紅葉の季節は幻想的な景色が広がり、まさに穴場スポットです。
実は都心近くに大きな公園や自然が多いのも、外国人にとって大阪の魅力だといいます。
ボックスさん
「すごくいいね。長い時間かけて岩を切り開いたんだろうね。山と空がすごく近いよ」
ディオネさん
「すごく美しい場所ね。自然もたくさんあって、信じられないほどすてきなハイキングだったわ」
■「飛行機に間に合わない」ロッカーのトラブル
観光案内所には、トラブルを抱えて飛び込んでくる外国人もいます。
台湾からの女性
「助けてください。スーツケースが出せなくなったの」
「((Q.ICカード(鍵)は持ってる?)なくしました」
コインロッカーが開かなくなってしまった女性は、「15分後の電車に乗らないと、帰りの飛行機に間に合わないわ」と急いでいます。
そこで、スタッフは管理事務所に「ここで待ってもらえばいいんですね。お急ぎみたいです」と連絡しました。
駆け付けた担当者と一緒に急いでロッカーへ向かいました。不安そうに作業を見つめる女性。すると、ロッカーの鍵が開き、無事に荷物を取り出すことができました。
■「道頓堀ナイトクルーズ」外国人に大人気
外国人観光客にとって、大きな楽しみは大阪の夜です。ネオンやライトが煌めく夜の大阪を川から楽しむ「道頓堀ナイトクルーズ」は、9割が外国人客だという定番の大人気ツアーです。
そんななか、ディープなナイトクルーズが最近話題になっているといいます。人気のない夜の港で、ボートに乗り込む外国人一家。暗い大阪湾、一体どこへ向かうのでしょうか?
妻のアキさんの出身地である大阪に帰省中のイアン・フィリップスさん (41)。出発してから10分後、家族が甲板に出てみると、眼の前に広がるのは幻想的に輝く工場夜景でした。
実は堺市の泉北臨海工業地帯は、昼には無骨な工場街ですが、夜になるとライトアップされ、SF映画のような幻想的な景色になります。近付くと、灯りに包まれた巨大な夜の工場が見えます。
日本人のマニア向けに始めたナイトクルーズでしたが、口コミで外国人の利用が増えているといいます。
フィリップスさん
「いいね。蒸気のあたりがすごいね。アメリカで、こんな夜景は見たことがないよ」
名所から穴場まで、外国人の大阪人気がますます過熱しそうです。
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