オリエンタルランドが、日本を拠点とする「ディズニークルーズ」を展開すると明らかにしました。日本郵船グループも「飛鳥Ⅲ」を来夏に就航させる予定。クルーズ船のイメージを変えるプランも登場し、需要が高まっています。人気の背景と課題に迫ります。
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そこで今回の#みんなのギモンでは、「クルーズ人気…課題も?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●若い世代にも人気 その魅力は?
●人気故に…整備追いつかず
■“日本版”ディズニークルーズとは?
猪子華・日本テレビ社会部記者
「東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが9日、日本を拠点とするディズニークルーズを展開することを明らかにしました。クルーズというと、どんなイメージがありますか?」
鈴江奈々アナウンサー
「お金と時間にゆとりのある旅なのかな、逆に言うとちょっとハードルが高いかなというイメージは正直あります」
森圭介アナウンサー
「ゆとりのある方が楽しむもの、という漠然としたイメージがあります」
猪子記者
「そうですよね。ただ、今はだいぶ変わっていて、クルーズの人気の裾野も広がっているんです。まずは、日本で展開予定のディズニークルーズを見ていきます」
「人気キャラクターたちとの船の旅はどんなものなのでしょうか。既にアメリカで展開しているディズニークルーズでは船内で様々なショーがあり、デッキのプールにはウオータースライダーもあります」
「日本版のディズニークルーズの乗客は最大4000人で、来年度から造船を開始し、2028年度の就航を目指しているそうです」
■標準的なプランの想定料金は?
森アナウンサー
「既にアメリカ等では行われていて、似たようなものがもしかしたら日本に来るかもしれないということですよね。(人気アトラクションの)タートル・トークがあるなどリゾート内でしか楽しめなかったものが船の上で楽しめるかもしれないということですよね」
鈴江アナウンサー
「しかもファミリー向けですもんね」
森アナウンサー
「となると気になるのは…」
猪子記者
「料金ですよね。アメリカではディズニークルーズは既に5隻運航されていて、宿泊代や食事代、プール、レクリエーションなどを含むオールインクルーシブ(一部の体験・飲食代を除く)が特徴の1つです」
「日本でどうなるかはまだ決まっていないそうですが、首都圏の港を発着する標準的なプランは1人2泊~4泊で10万円~30万円を想定しているそうです。こうしたディズニークルーズが2028年度の就航を目指しているということです」
■日本人のクルーズ船乗客数は回復傾向
刈川くるみキャスター
「行きたいですね…。これだけの内容を見ると、想像よりかは安いのかなと思うんですけれども、日数や値段が行きやすいものになっているクルーズもあるんですね」
猪子記者
「そうなんです。最近のクルーズは長期間で高額なプランばかりではなく、客層も広がってきているんです」
「クルーズライン国際協会(CLIA)によると、日本人のクルーズ船乗客数はコロナ前の2019年に約29万7000人でしたが、2020年に新型コロナが流行して1万人台まで激減。それが2023年には約20万3000人と回復しました」
■背景は…クルーズ専門の旅行会社に聞く
猪子記者
「クルーズ専門の旅行会社・クルーズのゆたか倶楽部の松浦賢太郎代表取締役は、『円安で海外に行きづらくなっている今、インバウンドの増加で国内のホテルが高騰していて、ホテルとクルーズの料金がそれほど変わらなくなってきている』と指摘します」
「さらに『食事代や船内のサービス代込みのクルーズの方がお得感があるということで人気になっているのではないか』とみています」
鈴江アナウンサー
「確かにホテルを検索して、ハイシーズンだと特に、だいぶ値段が上がっているなと実感します。それを家族(の人数)でかけ算すると、『うわっ』ってなるんですよね。なかなか国内旅行も簡単には行けないみたいな…」
森アナウンサー
「びっくりしますよね。(日本版ディズニークルーズで想定される)10~30万円も、それだけ見ると高いかなと思いますけれども、1日遊んで宿泊も込みでなったら、まあまあまあという感じですよね」
鈴江アナウンサー
「食事代も込みですもんね。いろんな楽しみ方がこの中でできるならば、と思いました」
猪子記者
「松浦さんによると、クルーズ船各社が若者・現役世代に積極的にアプローチしていることも背景にあります。特に日本では、クルーズ船は現役を退き、時間とお金に余裕のあるシニア層が悠々自適に旅をするというイメージが定着しています」
「そこに、短期間で手頃なクルーズプランを増やし、若者や現役世代の利用も伸ばしたいという狙いがあるんですね」
■比較的リーズナブル…外国客船が人気
猪子記者
「実際にはこんなプランもあります。シアターやカジノ、プールやジムもある外国客船『MSCベリッシマ』(全長315メートル、客室2217室)で、横浜から沖縄経由で台湾まで行き、台湾からは飛行機で帰ってくる7日間の片道クルーズです」
「食事代も帰りの飛行機代も込みで15万8000円から(東京着のクルーズプラネット価格、港湾税・国際観光旅客税など別途必要)です。大人だけでなく、家族連れにも好評でした」
「乗船した30代の母は『子どもたちも楽しく過ごせている』、息子(9)は『ウオータースライダーが楽しかった』と話していました。旅行代理店によると、外国船は客室数が多く、比較的リーズナブルなため人気が高まっているといいます」
■来年夏ごろには「飛鳥Ⅲ」が就航
河出奈都美アナウンサー
「行ってみたいですね…。クルーズ船に乗ったことはないんですけれども、私もウオータースライダーではしゃぎたいですし、普段は行きもしないジムでの運動もしたくなっちゃいそうですね。充実した時間を過ごせそうですよね」
猪子記者
「普段とは違う時間を過ごせそうですよね。こうした需要の高まりを追い風に、日本のクルーズ船会社も今動き出しています。日本郵船グループの郵船クルーズでは、来年夏ごろ、新たな大型客船『飛鳥Ⅲ』が就航予定です」
森アナウンサー
「日本のクルーズ船といったら飛鳥Ⅱが長年けん引してきましたけど、ついにⅢが出るということですね」
鈴江アナウンサー
「どんなふうに変わっているのか気になる…」
猪子記者
「飛鳥Ⅲの特徴としては、レストラン・カフェ・バーが15か所あるなど、乗客のニーズに細かく応えるサービスを予定しているということです。航路や料金などは随時発表されるそうです」
森アナウンサー
「横浜に飛鳥Ⅱが泊まっているのを遠くから見て、憧れてましたよ」
■アクセスやオーバーツーリズムに懸念
猪子記者
「こうしたクルーズは日本人だけでなく、外国人観光客が日本を訪れる訪日ツアーなども盛り上がっています。さらなる盛り上がりを狙うには、いくつかの課題があるといいます」
「国土交通省によると、クルーズ船が寄港する港は年々増加していて、2019年に67か所だったのが2023年には92か所(速報値)にまで増えました。横浜や神戸、東京など大都市だけではなく、八丈島や島根県の浦郷漁港など、地方や離島の港にも広がっています」
「ただ地方や離島には小さい港も多いので、出入国の管理や税関、トイレなどの設備面が十分に整っていないなどの理由で、一度に大勢来る乗客に対応しきれないという課題があるんです」
「さらに、寄港地では乗客が地元の観光やアクティビティーを楽しみます。観光地までの交通が不便なことや、観光客が押し寄せてオーバーツーリズムが起きてしまうという懸念も指摘されています」
「国交省は港のある自治体などに向けて、クルーズ船受け入れのために必要な設備や環境などのガイドライン(策定)の検討を進めているということです」
鈴江アナウンサー
「外国人観光客に会わない日はないくらい、たくさんの方が来てくださっていますが、あまり外国人観光客がいない、人が少ない場所に行きたいという声も聞きます。まだ整備が整っていない地域はチャンスと捉え、取り込めるような設備投資が進むといいですね」
猪子記者
「より身近になってきたクルーズですが、環境整備が進めば私たちの旅行の選択肢も広がりそうですね」
(2024年7月10日放送「news every.」より)
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