出航の汽笛が物寂しくなりだし、クルーズ船は横浜大さん橋から少しずつ離れはじめた。
「夕日が綺麗ね」
「そうだね」
「来てよかったでしょ」
「そうだな。来てよかったよ」
「次も来る?」
「それは列車旅をした後でもいいも……」
「はいはい、次は列車旅ね」
「でもね、それはどっちでもいいよ。二人一緒なら列車だろうと船だろうと」
二人は、赤く染めはじめた赤レンガ倉庫を見ながら肩を抱き支え合っている。微笑ましい光景が広がっていた。愛とは、年齢に関係なく美しいものである。
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