【ワシントン=住井亨介】米西部カリフォルニア州沖の太平洋でクルーズ船「グランド・プリンセス」の乗員・乗客に新型コロナウイルスの感染症状が出ている問題で、運営会社は5日、日本人4人も乗船していることを明らかにした。
グランド・プリンセスは横浜港で集団感染が発覚した「ダイヤモンド・プリンセス」と同じ米船会社「プリンセス・クルーズ」が保有し、乗客・乗員は計約3500人。米紙ワシントン・ポスト(電子版)などによると、このうち約20人が感染が疑われる症状を訴えている。日本人がこの中に含まれるかは不明。
米メディアによると、グランド・プリンセスは2月21日までサンフランシスコとメキシコ間を航行後、サンフランシスコから同日、ハワイに出発。その後、サンフランシスコで下船した男性(71)がコロナウイルスに感染して死亡したことが4日に発表された。
グランド・プリンセスはメキシコへ航行した乗客の一部が引き続き乗船しているため、予定を変えてサンフランシスコに戻ったが、カリフォルニア州が寄港を禁じ、沿岸部に停泊中。乗客らの検査のため、米疾病対策センター(CDC)の担当者や検査キットがヘリで輸送された。
船内ではCDCの指示でカジノが閉鎖されるなど人が集まる催しが中止されている。米CNNによると、メキシコ航行からの乗客は自室にとどまるよう求められているともいう。
グランド・プリンセスをめぐっては、5日の米上院委員会の公聴会でも取り上げられ、「全員を一緒に乗船させておくのは適切でない」などと懸念が噴出。これに対し、国土安全保障省のケネス・クチネリ副長官は「一度に検疫を行う能力に誤解がある」と述べ、すべての乗員を隔離・収容する施設はないとした。
ダイヤモンド・プリンセスのケースでは船内で隔離措置がとられたが、感染拡大を防げず、米国内でも日本に批判が上がった。米メディアは当時の日本も引き合いに出しながら、米当局の対処を注視している。 (映像提供 ロイター)
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