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「楽しい船旅が、なぜ…」 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の新型コロナ集団感染から3年 検証を求め続ける乗客の痛切な思い(今日ドキッ!特集 2023年2月17日放送)

クルーズ

横浜から香港、ベトナム、台湾をまわる、こちらのクルーズ。3年前、船内で新型コロナの集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」のルートです。
 国はいまだ、詳細な検証を行っていません。「楽しい船旅が、なぜ…」札幌に住む乗客の男性が検証を求め続けています。

追悼の集い「2.3宣言」
「私たちは忘れない。記録し、伝え、検証を求めます」

 2月3日。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の追悼の集いが開かれ、当時の乗客らおよそ30人が、3年ぶりに横浜港に集まりました。
 式典の実現に力を尽くしてきた、札幌の男性がいました。

千田忠さん
「あのへんに救急車がたくさん止まって…。正直に言って正視したくない、あの時間を忘れたいと思う」

 2020年2月3日、横浜港に姿を見せた大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。

 乗客・乗員3700人余りのうち712人が感染しました。感染を免れたおよそ3000人は、船内でおよそ2週間の隔離生活を余儀なくされました。

2020年2月14日の放送(千田忠さん電話インタビュー)
「隔離生活が長引くに従って、皆さん持病が悪化したり、何でもない人が熱を出したり」

 当時、HBCの電話取材に応じた千田忠さん。妻と2人でこの船に乗っていました。

千田忠さん
「(感染者が)ブルーシートの中を通って運び出されていくのが見える。そういう光景を見るたびにあすは我が身という気がした。なぜ楽しいはずのクルーズの旅が一転して感染爆発に巻き込まれてしまったのか。多くの人が苦しみ、亡くなった人もいる、何とかして原因を確かめなければいけない

衆院予算委 菅義偉総理(当時) (2021年2月)
「次の新たな感染症に備える意味でも、しっかりした検証を行って、その結果を踏まえ、必要な対策を講じることが大事だ」

 国は、ダイヤモンド・プリンセスの集団感染について、「検証」を行う姿勢を示していました。しかし、厚生労働省や国土交通省は、ダイヤモンド・プリンセスに関する「検証報告書」を、いまも、取りまとめていません。

 2021年3月、千田さんは、ほかの乗客と『検証を求める会』を立ち上げました。コロナ禍で直接会うことができない中、2年間にわたり独自の検証を実施。そこから、集団感染の「原因」が浮かび上がってきました。

 3年前、712人が感染するクラスターが起きた大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。

 「なぜ感染が広がったのか」。船に乗っていた、札幌の千田忠さんらは、独自で原因究明を進めてきました。

 まず、運行管理上の判断として、
 ▼アジアで感染が広がり始めた時期に船を出港したこと
 ▼途中で下船した乗客の感染が判明した後も船内でイベントを実施したこと。

 さらに、国の対応として、
 ▼大規模感染に備えた施設や訓練が足りていなかったこと
 ▼停泊中の医療態勢が不十分だったこと
 などが判明しました。

 千田さんらは、対応が適切にとられていれば、船内での集団感染は「避けられた」と主張します。

千田忠さん
「また新しい感染症が遠からず起こるだろう。次のパンデミックに対応するものにクルーズ船の悲劇を生かしていかなければいけない」

 当時、厚生労働副大臣として「ダイヤモンド・プリンセス」内で対応にあたった橋本岳議員は…

元厚労副大臣 橋本岳 衆院議員
「(新型コロナ感染の)1つ1つの例に教訓があるし、1つ1つを見直してほしい、できるといいなと思う。その中の1つにダイヤモンド・プリンセスもあると思う。一方で、高齢者のクラスターは世の中でたくさん起こっているのも事実。今の政府の人材や資源でどこまでやるかという話かもしれない」

 検証を求めて共に歩んできたメンバー。初めて対面しました。

平沢保人さん
「生きて会えて良かった」
千田忠さん
「(オンラインで)2年間会っていたはずなのに初対面だから」

「黙とう」

 「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染では、下船後に帰国した外国人を含め、14人が亡くなりました。

追悼の集いに出席した乗客
「(乗船した自分と夫は)すごく元気だから、遺族に申し訳ない」
千田忠さん
「つらかったね、生きたこともつらかったしね」

 追悼の集いに、遺族の姿はありませんでした。
 あのとき、船で何があったのか。検証し、教訓を生かさなければ、本当の意味での追悼はできないと千田さんらは考えています。

千田忠さん
「まだ向き合えない人がたくさんいると思う。そういう人たちと手を携えて進んでいきたい」

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